今回は機材の話です。
写真関連の話題で特に機材についての話は極力しないようにしています。なぜならその話題は人それぞれの哲学になってくるからです。特に写真好きの集まりの時には、かなり意識的にその話題は避けることを心掛けています。
ちなみに機材の話題だけでなく特に写真の作家活動領域の話題については、よほどのことがない限りその話には踏み入らないのが私の中のルールになっています。それほどまでに皆それぞれに写真に対して試行錯誤し、思いを込めて写真に向き合っていて、話が噛み合わないだけならまだしも、口論に発展しかねないのです。
そして正解のない世界ということもあり、それぞれの人生観や政治思想、哲学の領域となってくるのでいつまでたっても結論がでることはないのです。
(同カメラメーカー使用の人や、好きなタイプの写真作品の人に対しては例外の場合もあります)
この前提を少し忘れて機材のことを綴ってみたいと思います。機材についての話題を避けるというルールは、自分に対しての自戒の念を込めるという意味もあります。もともとカメラ機材が大好きで、写真を撮るよりも新しい機材をコレクションすることのほうが好きな傾向があるのです。その性質に気づいた時から、機材コレクターになりたい訳ではないと自分に言い聞かせつつ機材の購買欲を抑えています。
今しばらくは新しい機材を買わないことを自分自身に誓っています。
この誓いを立てる前、今からやく1年前にこれまでで一番高価なカメラを購入しました。
今回はそのお話です。私が分割で購入したカメラは、
Fujifilm GFX100 です。
ご存知ない方がいるかと思いますので少し説明をすると、このカメラは中判デジタルカメラです。
中判デジタルカメラというのは、現在主流のフルサイズデジタルカメラよりもセンサーサイズが大きいタイプのカメラで、これまで中判デジタルを購入しようと思うとハッセルブラッドやフェーズワンというメーカーなどの外車が余裕で買えるくらい高価なモデルしか市場に存在しませんでした。
GFX100も、もちろん普通のカメラにくらべると十分高価なのですが、これまでの中判デジタルカメラの中では革命と言えるくらい安価なモデルなのです。
その当時作品作りに積極的に取り組んでいた私は、高解像度のカメラを必要としていました。
メインで使っていたニコンのカメラも5千万画素あったのですが、さらに高解像度のモデルが必要だと感じていました。そんな時富士フィルムから1億画素のカメラを発売するとのアナウンスがあり、俄然注目をすることになりました。
とは言え、普通で言ったら到底買える値段ではありませんから欲しいとは思いつつも諦めていました。
カメラのことをしばらく忘れているとメーカーからカメラについての最新のアナウンスがあり、またGFX100のことを思い出してしまいます。その繰り返しを何度かした後、富士フィルムがとうとうデモ機を大量に準備した上で展示会を行うというニュースを知りました。これまでパソコンのモニター上で噂レベルでしか知り得なかった未知のカメラに、とうとう触れるチャンスが来たのか!という気持ちを抑えきれずに炎天下の中、会期2日目に会場まで足を運ぶことにしました。
展示会は富士フィルム単独の催しで、GFX100祭りという感じでした。何人ものモデルさんが試写用に立っていたり、巨大モニターにGFX100で撮影された動画が流されていたり、著名な写真家さんたちによるGFX100で撮影された写真も数多く展示されていました。セミナーも何本も開催されていました。
私はそこで念願だった富士フィルムの中判デジタルカメラに初めて触れることになったのでした。
「おー、これがGFX100か、、思っていたより持ちやすいな、』というのが第一印象でした。
繰り返しになってしまいますが、通常のデジカメに比べたらめちゃくちゃデカくで重いカメラなのですが、これまでの中判デジタルカメラに比べたら小さいのです。正直これまで中判デジタルカメラに実際に触ったことはないのですが、GFX100に興味をもってからいろいろと調べてきた結果、中判デジタルに関しての知識はある程度蓄えられてきていて、中判として実機のサイズや重さに驚いたのです。
片手で十分持てることはすぐ実感できましたし、これなら体にぴったりくっつけて移動すれば街中でもあまり目立つことなしに撮影できるなとも思いました。何本かレンズを交換したりしながらひとおりデモ機で撮影して会場をあとにしました。
駅へ向かう途中、このカメラは絶対欲しいな。と思いました。制作中の作品にはこのカメラが必要だと強く思ったのです。
現在もそうなのですが私のメインのカメラは写真用と動画用で2つのメーカーで確定しています。
写真用はニコンで、動画用はパナソニックです。(フィルムカメラは別です)
ずっとニコンを使ってきてニコンマウントのレンズはかなりの数ありますし、パナソニック用のマイクロフォーサーズ用のレンズも同様に複数本保有していることから、今後メインのカメラメーカーを替える可能性はかなり低いと思っています。
その考えは現在も変わらないのですが、Fujifilm だけはちょっと別ものというかこれまで何台か所有してきています。最初に購入したのは X-pro1で、ライカのような風貌のレンジファインダーカメラという鮮烈な登場の衝撃波で発売と同時に購入しました。このカメラはまさに機材としての愉しみを与えてくれたモデルで数年使用したのち手放しましたが、手放すのと同時に Fujifilm のカメラはコンデジとなってまた私のところにやってきたりしました。
気持ちとしては現在も写真用のメインはニコンなのですが、ここ一番という時は GFX100 となっています。ここまでが前置きなのですが、それでは GFX100 について書いていこうと思います。
Fujifilm GFX100 (中判デジタルカメラ)
この大きなカメラをなんでわざわざ使うのか?
その理由をひとつあげるなら、センサーサイズになるでしょう。
モニターサイズや、RAWの書き出し方法によってはフルサイズ機の画像と違いはほとんどわからないといったところなのですが、でもやはり大きなセンサーで撮影したデーターの情報量というか余裕感があると感じます。作業面でいうと撮影後に大胆にトリミングしてもフルサイズ機の解像度並のデーターは依然として残っているので、写真の撮り方の自由度もあがると考えています。
本来であればこの GFX100 の機能を存分に生かすのであれば、純正のGFレンズを充実させていくべきだとは思いますが、純正のレンズはとても高価なのでそんなに簡単にポンポン購入はできません。実際私がもっているGFレンズは標準ズームレンズ1本のみです。短焦点レンズが欲しいのですが、それだけで最新型のフルサイズ機が購入できてしまう値段なので、おそらく今後も購入は無理だと思います。そこである程度の画素数はあきらめてニコンマウントのレンズをGFX100 に活用する方法で運用しています。
説明するまでもないですが各メーカーごとにレンズの取り付け口径が異なります。各社の口径ごとに○○マウントと呼ばれて区別されています。本来であれば各社の純正か適性なマウントのサードパーティーレンズを使用するしかないのですが、この口径を変換するためのアダプターが存在しています。GFX100も例外ではなく各社のレンズを使える様に変換アダプターが販売されているのです。
私はニコンのカメラで愛用しているニコンマウントのカール・ツァイスレンズを GFX100 で使用しています。フルサイズ機用のレンズなので撮像範囲は狭くなってしまうのですがそれでも望遠などが使えるメリットはあり、純正レンズの焦点距離で間に合わない場合はニコン用のレンズで代用しているのです。このような純正以外の組み合わせは、組み合わせの確率としてその人なりの個性が出てくるところなので、予算の都合から結果的にそうせざるを得ないという状況から一転して面白さとなる部分でもあると感じます。
さて、このカメラのサイズ・使用感です。
これまで何度も屋外でこのカメラを使用してきましたが、手にもってスナップショットするのに特に問題はありません。女性の方は少しキツイかもしれませんが、それでも片手で持って歩きながら街中で撮影して歩くことは十分可能です。体やカバンで隠せば特に大きなカメラを持っていると目立つことはないと思います。
さらにこのカメラの使い方として動画があります。
私は写真と同じくらい、もしくはそれ以上に動画を撮影しているのですが、このカメラで撮影された映像はかなり気に入っています。さすがに動画の場合は三脚に固定して撮る場合が多いのですが、フルサイズセンサーならではの、さすがの映像になっていると思います。特に外部モニターでlog撮影した映像は納得のハイクオリティ画像です。
機動力優先の時や機材を極力少なくしたい場合などにはパナソニックの GH5s を使用するかたちで使い分けをしています。
Fujifilm からの最近のアナウンスで、ファームウェアのアップデートにより外部記録の場合 RAW で撮影が可能になるようです。またピクセルシフトを用いて5億画素の静止画の記録もできるようになると聞いています。
そこまで高画素なんていらないという声もよく聞きますが、たしかに毎回の撮影でそれが必要になるとは私も思いませんが、必要な時のオプションとして高画素で撮れるにこしたことはありません。そのようなファームウェアアップデートによるバージョンアップによっても、ガジェット心をくすぐってくれるカメラだと思います。
先ほど書いた様にこれからは新らしい機材の購入は控えることを決めています。
今ある機材、今回で言えば GFX100 を様々な使い方でどんどん試していきたいと思います。まだタイムラプス撮影やパノラマ撮影なども試していませんし、4×5のカメラ側として将来的に使用することを試してみたいなとも考えています。
さて、まとめとしてはこのようになるでしょうか。
巷に出回ってくる新機種のカメラに目が行きがちですが、自分が今もっているカメラにもう一度意識を戻してみる。知っている様でまだまだ活用できていない機能があるかもしれない。
目をつぶったままでもすべてのダイヤルやメニューがコントロールできるようになるまで使い込んで初めて、カメラが活かされはじめるのだろう。生涯の相棒のような存在のカメラは、目新しい最新機能満載のカメラ以上に愛着が勝り、本来不必要な出費を防いでくれるに違いない。
2年目の GFX100 を写真・動画で1年目にまして使い込んでいきたいと思っています。